「…優雅っ!」 自然に笑みがこぼれる私とは対照に、優雅は無表情だった。 その瞬間、私から笑みが消えたのは言うまでもない。 「…あぁ。愛梨、おかえり。」 「…た、ただいま…。」 重い空気に包まれる私と優雅。 いつもの優雅なら、“おせーよ。早く飯食うぞ”って言って、家に私を入れ込む。 なのに今の優雅は、塀に寄りかかり、何も言わない。