「予約、思い出した?」


「………う、ん。」

でもあれは…予約じゃなくて、約束。

楓だけじゃなくて、私も望んだ未来。


楓は、あれを予約だと思ってたんだ。

………じゃあ、私も…。


「か、楓、……。」


『かえでくん、』

私も、予約してやる。

大好きな人に。大好きなあなたに。


「ゆびきりしよう?」


『ゆびきりしよ?』

私はあの日のように、右手の小指を

楓の前まで持っていく。


「クスクス。いーけど。」

楓はとても楽しそうな笑みを浮かべて、

その長くて綺麗な小指を

私のソレに絡ませた。


その手つきすらも、妖艶で、甘美で。

いつの間に、こんなに色っぽく

こんなに大人になったの。


『かのん。おぼえてて。

かのんは、ぼくのおよめさんだから。』

楓のことは、本当に昔から大好きで。

喧嘩しても、すれ違っても、大好きで。


『うん!わたし、かえでくんとしか

けっこんしないもん!』


「私、楓が卒業したら、

楓のお嫁さんになる。」

いつだって、楓の隣に居たくて。


「言ったな?」

ニヤリ、と悪戯な笑みを浮かべる

その口元も、艶やかで、色っぽくで。


「言った。」


「切るぞ?」


「うん。」


「「ゆーびきった。」」


『ゆーびきった!』

まさか、本当に。

現実になるなんて、ね。