店員さんが居なくなると、
私は目の前の棚の上のブレスレット達と
にらめっこを始めた。
「あ、優杏。
私、ピアスの棚に居るからね。」
「う、うん。」
奏乃は一緒に選んでくれないらしい。
でも、それは奏乃の優しさだと思う。
私からのプレゼントな訳だし、やっぱり
私自身で選ばなきゃ駄目だよね。
「うー…ん。」
これかなぁ…あ、でも何かゴツい。
碧眞、
絶対手首細いからあんま似合わない…。
ゴツいならゴツいなりにもっとこう…
碧眞に似合うタイプがあると
良いんだけど…。
「……はー…。」
彼氏は、
今まで何人かいたことあったけど…
碧眞みたいにホントに好きな人が
彼氏だなんて初めてで…。
ホントに好きな人が相手だと、
プレゼント選びだけでこんなにも
悩まなきゃいけないんだって思い知る。
…世の女の子は凄いな。
やっぱり私、女の子らしくないよねぇ。
どんどんネガティブ思考に行く私の目に
一瞬キラッと何かが視界に入った。
「……?あれ…。」
もう1度視界を戻し、
さっきキラッとしたモノを探した。
確か…この辺で光ったような。
その光の元は、少し奥から見えた。
手を伸ばし、私はそれを手に取った。
あ、これ…。
私が手に取ったブレスレットは、
とても綺麗な青緑色だった。
葉月が付けてる
エメラルドグリーンよりは
少し暗めな深い色。青と緑の中間の色。
「…………。……奏乃ー!」
私は奏乃を少し大きめの声で呼んだ。


