…………やっぱり、ここしかないか。


「久し振り、鈴。」

私は、鈴の墓石の前に来た。


久し振り…とゆうか、鈴の墓石まで

来るのって多分これが初めてだ。


墓石を見るのが、嫌だった。

声も聞けないし、顔も見れない。

何より…"もう居ない"と思い知らされる。


「鈴。私…好きな人が出来たよ。」

こんな石の下に、

鈴が埋まってるんだって、

思い知らされる。


「凄く…凄く、優しいの。

鈴みたいに、

私なんかを必要としてくれる。」

もう私は、あなたの笑顔を見ることは

出来ないのかな。


「あの人と一緒なら、

また立てる気がする。

前を向いて…歩ける気がする…。」

かつてあなたとそうしたように。


「だから。心配しないで。

私は………、また…歌えるから。」

あなたが見出だしてくれた、

この僅かな光を私は無駄にしない。


「……もう、逃げないから。」

鈴。

あなたが私を想ってくれたみたいに、

私もあなたを想いたい。


自分の為じゃない、あなたの為になる

そんなことをやり遂げたい。


勿論、あなたが喜ぶやり方で。


「バイバイ、鈴。ありがとう。」

私はもう、逃げないから。


ちゃんと前を見るから。

だから、哀しまないで、笑っていて。

大好きだから、鈴のこと。