携帯の画面を見ると

葉月君からの着信だった。

通話…は、教室でしない方が良いよね。


私は少し急いで教室を出た。


《~♪~♪》

携帯は鳴り止まない。

よしよし…私がローファーに

履き替えるまで携帯よ、

鳴っててください…。


が、階段を下って昇降口まで来た時。


《~♪……》


「……あ゙。」

切れた。


自分の下駄箱の前で佇む私。

……………どうしようか。


また掛かってくるかな…。

あ、でも

今ので出れないって思われたかな…。


…………。

………私が掛ければ良いんじゃないか?


「………普通にそうすればいいじゃん。」

私は下駄箱を開けた。


私、やっぱ馬鹿だなぁ…。

上履きからローファーに履き替える。


私は昇降口から出て、電話を掛けた。

勿論、葉月君に。


『プルル―…もしもし。』

はやっ。

って、そりゃあそうだよね。


携帯のスピーカーからは、葉月君の

相変わらずの甘い声が聞こえる。


「は、葉月君。どうしたの?」


『どうしたのじゃないだろ。

カナ、何で電話に出ないんだよ。』

少し不機嫌気味な声が聞こえてくる。


「ごめんなさい。教室の中は煩いから。」

私は校門に向かってスタスタと歩く。


「で、葉月君どうしたの?」

私は再び用件を聞いた。


『用事がないと

電話しちゃいけないわけ?』