「――……。」

2曲目も終わりが来た。


このまま歌っていたいと

どんなに思っても

やっぱり終わりは来てしまうもの。


でも私。あの頃と今で、

違う考えが浮かび上がってきた。


歌は、ううん。音楽は、芸術。

けど、絵画や銅像のように、

決して形の在るモノじゃない。


一瞬で現れて、一瞬で消えてしまう、

時の芸術なのだ、と。


私は、幼い私には分からなかったことが

今になってようやく分かった気がした。


「「「「「きゃぁぁぁあああっ!!」」」」」

2曲目が歌い終わると、

1曲目が歌い終わった時とは

違う反応だった。


「ソウーッ!」


「声ヤベーーっ!」


「めっちゃキレーーー!!」


「もっと聴きたーい!」

………"ソウ"。


あぁ、そうだ。

今の私は、"ケイ"ではなくて、

"ソウ"なんだ。


「………ありがとう。」

私は、"ケイ"じゃなくても歌えるのか。