「私は……歌って、良いんですか…?」


「馬鹿かお前。どうしてくれんだ?

ここ3年、お前以上の歌手が居ねぇから

俺の仕事は全然つまんねぇ。」


「え?俺らはー?」


「バァカ。

ケイに勝てる奴なんて居ねぇよ。」


「ひでー。」

葉月君と柚唯君の緩い会話は、

私の耳には届かなかった。


「奏乃。お前が居ねぇ音楽界なんて、

歌姫が居ないステージだったぞ。」


「……。」

嘘でしょう?


「寧ろ、俺から願ってたぐらいだ。

また、お前がステージに立つ日をな。」

嘘でしょう…?


「奏乃。どこでも良い。

もう1度、歌ってくれよ。」

あなたは、私を受け入れてくれるの?


「わ、私、あんなに…勝手に…っ。」


「あ?あー、確かに勝手に辞めたよなー。

けどまぁ、

お前がまた歌うなら許してやるよ。」

こんな幸せ、私が感じて良いの?