Diva~見失った瞬間から~


「じゃ、付いてきて。」


「あ…。」

私の返事を聞くことなく、

彼は私に背を向けて歩き出す。


私の通学路である

逆方向に行く訳にもいかず

かと言って

ここに突っ立っている訳にもいかず

悩んだ末、

私は葉月君の後を付いていった。


彼の脚は…長い。

とゆうか、全体的にスタイルが良い。


普通に歩いていたら、

絶対私は早足か小走りになってしまう程

私と彼には脚の長さに違いがある。


なのに、今私がこうして

普通に歩いていられると言うことは、

彼は私の前を歩いていながら

私の歩くペースに

合わせてくれているのだ。


……こんな時でも、紳士かぁ。

その気遣い本当に尊敬するよ、葉月君。


ペースに問題は無いものの、

移動と言う行為は結構な時間続いてる。


かれこれ、20分位歩いたと思う。

……どこに向かってるの?


結局…目的地に着くまで無言、沈黙。

でもやっぱり、葉月君との沈黙は

それほど辛くは感じない。


何でだろうね。