「……あれ。奏乃?」

呆然と、ただ目の前に佇む苺パフェを

見つめていたら、

後ろから名前を呼ばれた。


え、男の人の声だ。

でも、聞こえたソレは、葉月君でも、

はたまた蒼空君の声でもなかった。


え?私を名前で呼ぶ男の人って…?

私はゆっくりと後ろを向いた。


「あ、やっぱり奏乃じゃん。」


「に、西谷さん…。」

そこには、背が高く、

葉月君とはまた違った雰囲気を持った

美青年、西谷さんが居た。


「久しぶり。いつぶりだ?」

西谷さんは、迷うことなく

さっきまで

時鶴が座っていた席に座った。


「……事務所で新曲聞いた時以来です。」

西谷さんは、なんか葉月君に似てる。

いや、雰囲気は違うんだけど。


なんか…なんか、似てるんだよ。


「奏乃さぁ、

いつもこんな学校帰りの放課後に

カフェに来てそれも1人で

パフェとカフェオレを頼んでんの?」

西谷さんは

私達の使うテーブルに乗っている

カフェオレと苺パフェを見ながら、

クスクスと上品に笑った。


「なっ…いや、違いますよ…。

今日は友達と来たんです…。

帰っちゃいましたけど…。」

時鶴、やっぱりパフェは

食べていって欲しかった…!


「ふぅん…。パフェ、食わねえの?」


「…私、胃が弱いので…。

あまりそうゆうモノは食べません…。」

食べると胃がムカムカする。


「……じゃ、俺が貰って良い?」


「え?あ、どうぞ…。」