「………別に良いけどね。
自力で帰るよ。」
先生が何も言えずに
下に視線を向けていた。
ごめんなさい。そんな風に
落ち込んで欲しかった訳じゃないの。
あなたを責めるつもりじゃなかったの。
………あぁ。頭がぼうっとしてきた。
大分熱が上がってきてるらしい。
「ごめんなさい。
私、デリカシーが無かったわよね。」
十数秒置いて、先生は私に謝った。
別に、良いのに。
「気を付けて、自力で帰るよ。
良いでしょ?」
「…………気を付けてね。」
苦労してここまで来たのになぁ。
またあの長い道のりを帰るのか。
………また、静かなあの家に帰るのか。
私以外誰も居ない、大きな家に。
「…………。」
具合が悪いせいかな。
1人になると分かった瞬間、
尋常じゃない寂しさが私を襲った。
何でかな。
いつもなら、
寂しいなんて、思わないのに。


