「………先生。帰らなきゃ駄目?」

私は力無く聞いた。


「駄目。家に帰って寝てなさい。」


「………そう。」

学校に居ちゃいけないのか。

ここに居ちゃいけないのか。


「でもね、先生。私、帰れないよ。」


「え?何で。別に自力で帰れとは…。」

ううん、そう言うことじゃない。


「私には、迎えが来ないもの。」

私には、家族が居ないもの。


家に居るのは私だけ。

あんなに広い家なのに、

住んでいるのは私だけ。

家族と呼べる人達は、

もうこの世には居ない。


誰も、

私を迎えに来てくれる人が居ない。