あなたと居た時間は、幸せだった。

それは、

あなたが居ない時間の分の幸せをも

持っていったのかと言う程に。


『カナ。あたし、幸せだよ?』

あなたは、私の目の前に現れるのに、

私はあなたに触れることが出来ない。


あなたは、私に話し掛けてくれるのに、

私は答えることさえ出来ない。


それは、私が知っているから。

あなたが実体の無い幻で、

あなたに逢いたいが為に、

私の脳が勝手に造り出している

幻影だと言うことを。