「どこで…?うーん…。公園…?」

葉月君は、普通の口調で社長さんに

答えを言った。


何で、葉月君と私の出会いを気にする?

その理由は私にも分かり切ってること。


突然、姿を消して。

行方不明の状態が数年も続いて。

忘れかけた頃に再び目にした事実。


ソレが、信じられない程近くで

自分の身近で進み…

少しずつ近づいている。


「……公園…?」

社長さんの表情は、よく分からない。

葉月君の身長が高くて、遮られている。


「社長、カナ、もう疲れたみたいだから。

今日はもう帰るって。」


「え…?」

気づいてたの?

私が…帰りたがっていること。


「カナ。駅まで送る。」

葉月君の瞳からは何も読み取れない。

ただ綺麗で真っ直ぐな瞳。


「……う、うん。」

葉月君は気づいてるのかな。


あなたのその真っ直ぐな瞳を見る度に、

私があなたを

別な人と重ねて見ているのを。


……出来れば…気付かないで。

気付いても、

私には分からないようにして。


《ガチャ…》


「皆さん…

今日は、ありがとうございました。」

素っ気ない言葉を最後に、

私は彼等の事務所を後にした。