「おいシン、

お前どんだけ奏乃好きなんだよ…。

テン、奏乃連れてきた?」

西谷さんが

呆れた口調で話すのが聞こえる。

あ、私は

葉月君の陰で姿が見えないのか。


「ここに居ます。」

私は葉月君の横から顔を覗かせた。


「きゃあー♪奏乃会いたかったぁ♪」

よいしょっと。

部屋に入った瞬間に

真川さんに抱き付かれた。


………なんかどことなく時鶴に被る。

私って

このタイプに好かれるのだろうか。


「あ、奏乃。いらっしゃい。

一昨日ぶり?だね。」

相変わらず爽やかな河崎さん。


「はい。一昨日ぶりです。」

ぎゅーっとまだ抱き付かれている私。

そんな私を見て、

若干苦笑いをする河崎さん。


「シン随分となついたなぁ。」


「だって奏乃可愛い…って、何で眼鏡?」

…………え、今さら?


「私…普段は眼鏡掛けてますけど。」

寧ろ眼鏡の方が普通だよ。

コンタクトの方が珍しいよ。


「やだぁ!奏乃なんて勿体無い…!

一昨日みたいにすれば

絶対モテるのに…!」

一昨日?化粧のこと?


「あのメイクは

友達にやってもらったもので。

普段は全然メイクはしませんよ。」

時鶴って、メイクの腕は半端ない。

あんなに可愛い理由の1つかもね。


「盛り上がってるとこ悪いけど。テン、

奏乃連れてきたのって曲のためでしょ?

このままじゃシンの質問で終わるよ。」

西谷さんが冷静にこの場を静めた。

この場ってゆうより、真川さんを。