「………時鶴。大丈夫だから。」

私は悲しげな光を宿す時鶴の大きな瞳を

見ながらなだめるように言葉を出す。


大丈夫。

私は、大丈夫だから。


「…………うん。」


「ホントに、もう平気なんだよ。」

そう。もう大丈夫だから。


だから、そんな目をしないでよ。

思い出させるような顔、しないでよ。


《~♪~♪》


「…………私か。」

流れる重い空気を

私の携帯の着信音が壊す。


「……………奏乃っ…。」

でも時鶴には逆効果だった。


私の携帯の着信音…

その奏でたメロディは、

時鶴の表情をもっと悪化させた。


「……まだその、着メロなの?」

時鶴は今にも泣きそうだ。


何が時鶴をそこまで悲しくさせるのか、

私には完全ではないけど理解出来る。

私の着メロがそうさせているのだから。


この、3年前から

1度も変わらないメロディが。