徳子の部屋は居間から少し離れた場所にあった。

(ほわ~、ここも畳みの部屋だ)

和式だけれど年頃の女の子らしい可愛いいアレンジが加えられているから、殺風景ではない。

(すごいなカーテン、ピンクだよ。ぬいぐるみもいっぱい…。うわ!?クッション踏んじゃった!)

モフモフした感触にビックリしながら、部屋の主を観察する。

「えーっと、どれがいいかな?」

徳子は衣装ダンスから出してきた着物を床に並べ、潤に好みを聞いた。

「華やかなのがいいかな?主役だし。…でもな~しっとり上品タイプも似合そう。何色が好き?」

「青とか、緑とか…」

「ほうほう…ならしっとり上品タイプでいこう。重衡もそっちの方が好きだろうし」

徳子は、深い青と濃い紫とあっさりした緑の三着を潤の前に置いた。