(プレー、ボーイ…!?)

この説明を聞いて、潤は頭をハンマーで思い切り叩かれたような衝撃を感じた。


「あーーー!!!!」


掠れていた記憶が少しずつ甦る。

「思い出した!!私と結婚しても女の影が絶えない重衡さんに対する私の愚痴をいつも親身になって聞いて下さった良い人知盛さん!!」

「思い出したか」

「はい!バッチリと」

「なら今からでも遅くない。俺の側室になれ。雅子(マサコ)もお前なら快く側室に迎えるだろう」

「知盛、ここは一夫多妻が許されたうん百年前の平安時代ではないぞー?二股はいかん二股は」

すかさず二人の父親が常識を説いてくれた。

「ち、残念だな」

本気で悔しそうに舌打ちをする彼に潤は苦笑する。

「ちょっと待って!潤さん、俺のことより知盛兄さんのことを先に思い出すって、どういうことですか!?」

「あー…確かに。なんでだろう…?」

「フッ、愛情の差だなぁ?」

「………兄さん、蹴り倒して良いですか?」

第一回、兄弟喧嘩勃発!

だが、潤はそんな二人をほほえましそうに見つめていた。

(知盛さんのおかげで色々思い出したよ。まだ、断片的なとこもあるけど…)

そう。

夫となる重衡との運命的な出会いから始まる、平家との関わり。

(知盛さんのこととか、私の結婚生活とか…ホントは夢の中の声が重衡さんと一致してて疑いようがないとか…。悔しいから本人には言わないけど)

一つ封印が解けると、ポロポロと他の記憶も解放されていく。

(もう、自分の前世を否定できないな)

潤は昔を懐かしむように目を閉じた。