夜籠もりの下弦は恋を知る


(なんてリアクションすればいいんだろう…?)

返事に困る。

こんなステキな笑みを浮かべる人に「は?あんた何言ってんの?頭大丈夫?」とも言えないし、かといって素直に頷きたくもない。

結局、潤はだんまりを貫いた。






 電車に揺られ、二駅。

徒歩、数分。

デッカイ屋敷に到着した。

(え?)

「さ、上がって下さい」

(ここー!!?)

純和風の日本家屋。

だが、規模がデカイ。

石垣に囲まれた敷地にはちゃんと庭があり、草木が上品に植えられている。

「お邪魔します…」

圧倒されつつ中に入ると…。

「重衡!帰ったか!」

「はい。ただいま戻りました、父さん」

重衡の父親が着物姿で出迎えてくれた。