夜籠もりの下弦は恋を知る



 約束の放課後。

潤はホームルームが終わってすぐに教室を飛び出したが…。

「さあ、行きましょうか」

(ひー!!出たー!!)

待ち伏せされていた。

(逃げよう!)

無視して駆け出そうとしたが、あえなく捕獲される。

「俺の家、下り電車で二駅なんでわりと近いんですが、貴女は?」

(おいおい、それって私と同じ駅だよ!?なら、うちの近所に住んでるってこと!?)

教えるべきか、否か、ちょっと迷う。

(いや、今言わなくてもいずれバレそうだしな…)

「私も…同じ」

「本当ですか!?近くに住んでて今まで巡り会わなかったなんて…!」

少し渋い表情になってから、気を取り直したのか、彼は微笑んだ。

「いえ、もう関係ありませんね。こうして貴女が隣にいるんですから」