いじめが始まって
二月程経った
ある放課後、
奏と二人で居る所を
見知らぬ先輩に
呼び止められた。

「東堂康哉君だよね?」

「そぉですけど、何か?」

この人も俺をイジメるのか?

「そんなに構えないでよ」

いじめなんてものを
受ければ、幾ら
気にしない俺でも
本能で身構える。

「ボクは君の味方だよ」

味方?

「自己紹介を
してなかったね、
新聞部兼放送部部長
鈴宮凜だ、宜しくね」

そぉ言って
握手を求めて来た。

俺は品定めをする様に
鈴宮と名乗った
先輩をじっと
見つめた後 握手した。

声を掛けられた時は
警戒したが、
この人は大丈夫だと
何となく思った。

「宜しくお願いします」

俺がそぉ告げると
隣で黙ってた
奏が怪訝そぉな顔をした。

「大丈夫なのかよ」

確信はないが大丈夫だろう。

「多分な」

曖昧な返事に
奏の眉間にシワが寄った。

「鈴宮先輩を
信じてみようと思ってな」

裏切ったら
そん時はそん時
考えりゃいい。

「お友達も宜しくね」

そう言われて
嫌そうに奏が答えた。

「金盛奏です
宜しくお願いします」

こうして、
俺達は仲良くなった。

そして何時しか、
俺達は
新聞部の部室に
居座るようになった。

そして、皆
名前で呼ぶようになり
俺達は凜先輩に対して
タメ語で話して居る。

「あの園部って女子
前の学校でも
やってたらしい」

凜先輩が紙の束を
机の上に置きながら
淡々と言った。

その声には少し
怒気が含まれていた。

最悪だな、あの女。

「これ見てみな」

そぉ言って
俺達に渡して来たのは
さっきの紙の束だ。

その表紙には
"園部亜子の過去"
と書かれている。

ページ数は
なんと30ページ……

あいつ、どんだけ
やって来たんだ?

まさに絶句……。

「全部
あいつに関する事なのか?」

「あぁ、
警察沙汰に
なったのも幾つかあるが
そぉいうのは
あいつの父親が全部
揉み消してるけどな」

だから普通に
学校に通ってるのか。

「その父親馬鹿だな」

呆れた口調で奏が言った。

「ボクもそぉ思うよ」

凜先輩も賛同した。

「右に同じく」

まぁ三人で
同じ意見だと言う事だ。

「娘の為に
なってないよな」

言えてる。

「あいつの父親は
世間で言う
お偉いさんだからな」

「世間体を考えてだろ」

それでも、娘を
思うなら揉み消すんじゃなく
ちゃんと、罪を
償わせるべきだったんだ。

「これじゃぁ、
あいつも
繰り返す訳だ」

今回は標的を
選び間違えた様だが。

俺はいじめられて
不登校や引きこもりに
なる様なタイプじゃないからな。

奏と凜先輩が裏切ったら
精神的ダメージだろうが
他ははっきり言って
どぉでもいい。

馬鹿のやることに
腹立てたり
傷ついてたら
あいつらの思う壷だ。

まぁ、だからって
全く傷つかない
訳でもないが……

「なぁ、康哉」

俺を思考の世界から
現実に戻したのは奏だった。

「ん? 何だ?」

「オレは何があっても
お前の味方だからな」

奏の言葉に
一瞬、泣きそうになった。

「ぉぃぉぃ、
ボクを忘れないでくれよ」

凜先輩……

二人は俺が傷ついてる
ことに気付いて
くれてたらしい。

「お前と何年
一緒に居ると思ってんだ」

奏……

俺の考えは
お見通しって訳だ。

まぁ、どん底に落ちる程
傷ついてる
訳じゃないけど。

まぁ、とにかく
園部とバカ共に
色々と思い知らせてやる。