「進藤社長、

馮河って呼び捨てでしたけど、

この人と知り合いですか?」


オレの言葉に一瞬驚き、

次の顔は、

満面の笑みに代わっていた。

・・・

「拓哉君は初めてだったね。

私の息子で、長男の馮河だ」

・・・

え・・え?!

楓って、一人っ子じゃなかったのか?

・・・

小さい時も、

一度も会ったことがない。

・・・

驚いてる俺に、

進藤社長は続ける。

・・・

「無理もない。

馮河は、楓と12歳違ってな。

中学からずっと、アメリカで暮らしていた。

帰ってくるのも、

数えるほどしかないから、

会ったことはないはずだ。

楓は馮河が大好きで、

大きくなったら、お嫁さんになるんだって、

言ってたな」