「ゆくぞ、小鞠。」 もう用はないとばかりに踵を返すうさぎ。 これ以上触れてはならない。 これ以上踏み込んではならない。 根源的な恐怖を、本能が訴える。 だが、人間の本能は時代と共に衰えを見せているという。 野生の動物であれば本能で察知し、回避できるはずの危険を、人間は避けられない。 体面や見栄が本能を抑え込み、時に自ら危険を招く。 今回の場合も… 「か… 勝手に逃げてンじゃねーよ!!」 女生徒の一人が片手を振り上げる。 うさぎが肩越しに振り返る。