しなやかな肢体。

少女のように細い手足。

遊女ばりに着崩した赤い着物の襟元から、華奢な肩と鎖骨が覗く。

片手で捻り潰せそうな首に乗った、小さな美しい顔。

雪を欺く白い肌。

ルビーのように輝く大きな瞳。

幼い面差しなのに、冷めた表情や厚めの紅い唇でやけに妖艶に見える。

膝まで届く、銀の髪。

柔らかい曲線を描く、二本の赤く細い角。

…綺麗な、綺麗な、うさぎ。

君がココにいるから。

ラグの上に座りこみ、ガラステーブルに頬杖をついた高杉景時(タカスギカゲトキ)は、白いソファーに腰掛けたうさぎを飽くことなく眺めた。

愛しい鬼神(キジン)に景時が『うさぎ』と名付けたのは、ほんの数時間前のこと。