薫は居住まいを正し、正面から射抜くようにうさぎの赤い瞳を捕らえた。


「なんか腹減ったカモ。
うさぎサマは?
…鬼神って、ナニ食べんの?」


隣の景時が凍りつくのが、視界の端に見えた。

うさぎの唇の端が、ゆっくりと持ち上がった。

アルカイックな微笑みに、全身が粟立つ。


「さて?
そなたらのほうが、詳しいのではないか?」


「俺を喰え。」


即座に、景時が決然と言い放った。

即答かよ。
やっぱりか。

予想に違わぬ景時の反応に、薫は頭を抱えたくなった。