小鞠を送ってゆけ、と景時を先に帰したうさぎは、大地に頬を当てて身を横たえ、月の光を浴びていた。

その姿は一人蹲り傷を癒す、野生の獣のようだ。


「景時の力、侮れぬな。」


楽しそうな微笑みと共に呟かれた言葉は、聞く者もいないまま夜空に吸い込まれていった。