「うさぎちゃん…だよね?」


「そうじゃ。」


うさぎは小鞠に微笑みかけた。


「妾は鬼。
闇より生まれ出で、闇と共に生きる鬼。
そなたの目指す場所とは、真逆に在る者じゃ。」


ほんとに?

口を開きかけた小鞠の目を、冷たい手が覆った。


「そなたは疲れておる。
今は眠るが良い。」


強制的だが久しぶりに安心できる心地よい眠りに誘われながら、小鞠は思った。


『闇と共に生きる鬼』


ほんとにそうなの?
違くない?

だって、あの闇の中で見たうさぎちゃんは光そのものだった。

暗い夜を冷たく、だけど優しく照らす、月のようだった。

高杉くんが言ってたコト、今ならわかる。

私にもうさぎちゃんは、銀色に輝く光の女神に見えたから。