捜し求めるその人はひび割れたグランドに座り、生まれたままの姿で藤色の羽織に包まれた小鞠を腕に抱き、その滑らかな頬を撫でていた。

何度も。
何度も。
愛でるように。

景時の目に光が戻る。

視線に気づいて顔を上げたその人は、景時を招くように白い手を差し伸べた。

暗示にかかったようによろよろと歩み寄り、言葉もなく傍らに膝を着く。

小鞠の頬を撫でていた手が、今度は景時の柔らかい髪に触れた。
慈しむような微笑みを見せ、そのまま手を回し彼の頭を抱え寄せる。


(そんな可愛い顔でこんなコトされちゃ…
俺、全力で勘違いしちゃうよ?)


景時は今にも泣きそうに歪む顔を隠すように俯き、傷だらけの腕で小鞠ごとうさぎを強く抱きしめた。