地震の後のような。

台風の後のような。

自然災害に見舞われたような惨状を辺りに残し、訪れた静寂。

冬の足音を感じる冷たい風。
嗅ぎ慣れた夜の匂い。
そして、青白く光る月。

全ては夢の跡。

腕で頭を庇い、躰中の骨を粉砕しようとする衝撃にも、衣服を通り越して皮膚を引き裂くナイフのような風にも、歯を食いしばって耐え抜いた景時が、虚ろな目を開けた。

その目が、腕が、細胞の全てが、狂ったように愛しい人を求めている。

うさぎ…

うさぎ…