だが小鞠は、ココで安堵の溜め息を漏らして蹲る自分が嫌いだった。

強くなりたかった。
泣きながら逃げ隠れしなくてすむように。

強くなりたかった。


(うさぎちゃんみたいに…)


何者にも怯まない、あの瞳。
何事にも動じない、あの物腰。
そして… 誰かを思い遣れる、あの優しさ。

うさぎの全てが欲しかった。

うさぎになりたかった。

だから…あのおまじないを…


(それだけだったのに…)


小鞠は見慣れない自分の手に、視線を落とした。