意外と近場だ。
だが、思いっきり住宅街。

足場が悪ィな、などと移動を考えながら、すぐそこにあるはずの目的地に向かって信号のない小さな交差点を曲がろうとした景時の目の前に、ナニカが飛んできた。

慌ててハンドルをきり、ドリフト気味に車体を止める。


「うさぎ!!」


弾き飛ばされたように横から視界に入ってきたのは、誰かを抱えたうさぎ。

家屋の外壁にぶつかる前にくるりと体勢を変えて浮かび上がったところを見ると、本当に弾き飛ばされたわけではなく、ナニカの攻撃を食らった腕の中の人物の衝撃を軽減するため、抱きとめて自分から後方に跳んだようだ。


「来てたの?」


「来たか。」


二人の声が重なる。