バスルームの使い方を一通り教えて一人リビングに戻った景時は、ダイニングテーブルで項垂れ、頭を抱えていた。

シャワーの水音がやけに生々しく響き、彼女の存在を否が応でも意識させる。


(俺は…
とんでもないモンスターを生み出しちゃったンじゃねぇの?
この世を滅ぼす最終兵器の起動スイッチ、押しちゃったンじゃねぇの?)


脂汗が浮かぶ整った顔を苦しそうに歪め、赤く染めた柔らかそうな猫毛を両手で掻きむしった。
強靭な精神力で何度押さえ込んでも、躰の震えは止まらない。

もう逃げられない。
いや、逃げたくないのかもしれない。


(俺は、バカだ…)


水音が止まった。