「アンタ今時、嫁入り前とか…
いやいや、見習わなくちゃなンないのカナぁ…」


祥子は肩を落として、グロスを丹念に塗った唇を尖らせた。


「…うさぎはカワイーね。」


「藪から棒に…
どうしたのじゃ?」


うさぎは祥子の隣の席に腰を掛け、手にしていたイチゴ牛乳を机に置いた。
どうやらお気に入りらしい。


「…昨日、大吾とケンカしちゃってさぁ…」


「…」


「気が強いって。
カワイくない女だ、って言われちゃってさー…」


「…」


「まぁ、事実だケド、ね。」


祥子はニっと白い歯を見せたが、いつもよりさらに濃い化粧で腫れた目を隠していることに、うさぎは気づいた。