大きな中途半端と小さな中途半端。
二つの中途半端を抱えたまま、数日が過ぎた。

オニ狩り僧たちによるローテーションの見回りにも『オニっぽいモノ』は姿を見せず、素人感丸出しの呪符も、うさぎの下駄箱に毎日入り続けている。

だが、掴みにくい手懸かりが思いもよらないところから提供され、繋がる事実が芋づる式に明るみに出ることもあるもので…


「祥子。」


「んー?」


いつものように佐々木教諭が心の中で舌打ちしてホームルームが終了し、皆が帰り支度を整える騒がしい教室で、うさぎが祥子に話しかけた。

秋も深まり、このくらいの時刻になると、開け放たれた窓からの風が肌寒い。


「ここしばらく小鞠を見ぬが。
何か知っておるか?」