『大好きな君へ』はすごく感動して、泣けた。
人の命の大切さがわかる話だった。

柄沢くん、泣いてた……。

やっぱり、演技なんかじゃないと思う……

「泣けたね…」

「別に……」

今の柄沢くんにはこの映画はすごくお姉さんとリンクしたかもしれない…

もしかしたら、話をきくチャンスかもしれない。

「ねぇ、柄沢くんは大事な人が死んだらどうする?」

「…………っ!」

一瞬、顔が曇った。
やっぱりお姉さんのこと引きずってるんだ。
「柄沢くん、もしかして、大事な人亡くしたことある…の?…」

あんまりこんな事きくのはダメだとは思うけど…

「お姉さん……?」

「……なっ……!」

柄沢くんがいかにも『なんで知ってるの!?』って顔をした。

「ごめんね。…全部、千葉くんから聞いたんだ…」

「………」

「まだ引きずってるの…?」

「別に…あんたに関係ないだろ!」

「そうだね…あたし、そういう思いしたことないもん…」
最低だ…私。

「だったら…」

「…はっきり言って見苦しいよ?」
なに言ってるんだろ…
言葉が口からでて自分で止められない。

「お前ってほんと人の気持ちわかんねぇよな!」

すごく怒ってる柄沢くん。

「そうかもね…でも、私、お姉さんは今の柄沢くんの姿みたら、悲しむと思うし、柄沢くんにはそんな思い仕手ほしくないと思う…」


「…………」

「私ね、弟がいるんだけど、もし、私が天国に行ったとして、弟や家族がずっと私のことを悲しんで、一生引きずってたら絶対に悲しいし、悔しいと思う。」

「確かにそう、かもな…でも、忘れることなんてできねぇよ…」
低くて寂しそうな声でそう言った。

「誰もお姉さんのこと忘れろとは言わないよ。お姉さんのこと思って、お姉さんが生きてた頃のこと、誇りに思えばいいんじゃないかな?」

「誇りに思う……か…」

「そして、お姉さんの分まで幸せに生きる!」