天神学園高等部の奇怪な面々35

かくして、夜の月明かりに映える紅葉を観賞しながらの、月見大会が始まった。

「おお、夕城邸にはこんな立派な紅葉があるんですね…」

感心したように紅葉を見上げる涛波。

「これは見事ですねぇ…しかもいい具合に赤く色づいて…」

帳も微笑みを浮かべて紅葉に魅入る。

「これだけじゃ…ないですよ…」

呟いたのは咲耶姫。

彼女が十二単を外套の如くヒラリと翻すと。

「「「うわぁあぁあぁっ」」」

生徒達が歓声を上げる。

色とりどりの秋冬咲きの桜が、夕城の庭に所狭しと花を咲かせた。

「佐倉の面々に…少しばかり力をお借りしました…わたしからの奥方先生へのお祝い…今宵限りですが…楽しんで下さいませ…」