もう2度と、聞くことのできない、ハルの肉声。
お姉さんに渡されたハルのケータイを握りしめる。
咳き込みながら、
声を震わしながら、
時に、声をつまらせながら
僕のために残してくれた、ハルからのメッセージ。
いつ録ったのか分からない。
でもハルにとって、
これだけの時間喋り続けることは、すごく大変だったと思う。
ハル、ごめんね。
こんな、僕のために辛い思いさせて。
涙は溢れて止まらない。
ハルはきっとこんな僕の姿を見て笑うに違いない。
ハル。
絶対に、僕は医者になるよ。
そうして、ハルみたいな人を1人でも少なくなるように頑張る。
だから絶対に、空から見守ってて。
そうして、何年、何十年かかるか分からないけど、
絶対にその場所に会いに行くから。
僕を、こんな身勝手な僕を、
待っていてほしい。
もっとたくさんの話をしよう。
この世で幸せにできなかった分、
一緒に居られなかった分、
必ず空の上で、
幸せにするから。
一緒にいるから。
だからハル。
僕がそこに行くまで、
寂しいかもしれないけど、待っててね。
僕もハルが
大好きでした。
ありがとう。
ハル。
完
→あとがき


