ある日。



いつもの屋上へ向かっていた僕。

ふと、前方にハルの背中が見えた気がして。


慌てて、追いかけた。



もうかれこれハルと出会ってから1ヶ月が経とうとしていた。

年も明けたが、僕たちは毎日、屋上で話をしていた。

…めちゃくちゃ寒いにもかかわらず。



そして、よく思い返せば、

ハルとは屋上以外で会ったことがなかった。


こうして街中で見かけるのなんて初めてだ。


最初は声をかけて、

屋上に一緒に行こうと思ってた。


でも、ハルは屋上とは真逆の方向へ歩いて行く。



やってはいけないことだとは分かっていた。


こんなことするなんて、

人としてよくないことだって分かっていた。


でも、僕は何も知らない。


ハルについて知っていることと言えば、

年齢と名前くらい。


少しの好奇心くらい…持ったっていいじゃないか。