慌てて、窓をあけ部屋に入れてくれる。

パジャマ姿だ。きっと寝ようとしていたのかもしれないな。

「こんな時間にどうしたの?」

麻子だ。目の前に麻子が居る。

愛しくて、どうしようもなくて、麻子をそのままギュッと抱きしめた。


「もう、燐ったら・・・どうかした――血。」

目を大きく見開いて、俺の口元にそっと指を近づけた。

「え?あぁ・・・平気だよ。」

多分、澪の小父さんに殴られた時、口を切ったんだろう。


「ダメ。こっち座って。傷口、消毒するから。」

「平気だって、このくらい。俺、ヴァンパイアだよ?すぐに治るから。」

そう、俺達ヴァンパイアは治癒能力が優れているから

このくらいの傷なら数時間で跡形もなく消える。