えっと、確かこの病室だったよな。


記憶を頼りに病院の中を歩き、ある病室の扉の前で立ち止まる。

プレートには“霧生雪兎”と書かれていた。

それ以外には書かれてないから

おそらく彼一人でこの病室を使っているのだろう。


病室の中から、話声が聞こえる。

「ん、平気。明日は、学校行けるかな?」

「大丈夫じゃない?…ね、何か良い事でもあったの?」


この声は雪兎だ。間違いない。

もう1つの声は・・・女だ。

どこかで聞いたことがあるような―――――


思わず、中の2人に気付かれないように

病室の外から聞き耳を立てていた。