そのまま、屋敷に戻れば良かったのに

何故か気になって、気が付いた時には声を掛けた後だった。


「ねぇ、こんなところで何してるの?」


月明かりの中、しかもこんな遅い時間に声を掛けられるとは

思ってもいなかったのか、ビクッと肩を揺らして

俺の方を振り返った。



その時、彼女の頬を流れる涙が、とても綺麗だと思った。




今思えばこの時から、君に恋をしていたのかもしれない。