次の瞬間、俺は思わず麻子さんを抱きしめていた。

「り、燐君?」

「泣いて良いよ。俺、見てないから。」

麻子さんが慌てて俺の身体を離そうとしたけど

逆に俺は、ギュッと抱きしめる力を強くした。



「ふっ・・・うぅ・・・」

観念したのか、彼女は俺の服をギュッと掴み

声を殺して泣き始めた。



そうか、あの夜も誰かが亡くなったんだな。

それを自分の家族のように思い、ココで涙を流していたんだ。


人間なんて、弱くて脆くて儚いだけだと思ってた。


けど、こんなにも強くて、他人の為に頑張る人間もいるんだ。