あの時と同じ。
彼女は、月を見上げながら涙を流していた――――
「麻子さん・・・」
「―――っ」
ビックリしたのか、肩を揺らし
慌てて涙を拭い振り返った。
「燐、君?・・・どうして?」
「ゴメンね。なんだか、ココに居る気がして・・・」
俺は、そっと彼女の座っているベンチに近づいた。
「あはは・・・燐君に見つかるの、コレで2回目だね。」
無理やり笑顔を作ろうとしているのが見え見えで
痛々しかった。
「今日ね。3年間、病気で苦しんだお婆ちゃんが、亡くなったの―――」
ゆっくりと、時々声を詰まらせながら、話してくれた。

