君に最初に会ったのは

雪兎を病室に送り届けた、満月の夜だった。



雪兎を病室のベッドに寝かせ

これから住むことになる屋敷に帰ろうとしたとき

病院の屋上に、人影を見つけた。


気配を消して近づくと

そこには、涙を拭うこともなく

月を見上げ、ただ静かに泣いている君が居た。



この日の俺は、どうかしていたのかもしれない。