「そうだ、今日うちに手伝いに来てくれない?」
「分かった~」
沙羅のうちはカフェをやってて、たまにお手伝いをしにいく。
夏休みもアルバイトさせてもらってたんだあ。
そのとき、廊下からきゃあきゃあという女の子の黄色い声が聞こえてきた。
「?何だろう」
廊下を覗いてみると、たくさんの女の子にかこまれている男の子がいた。
後ろを向いてるから顔は見えないけど、黒色の、柔らかそうな髪が見える。
「すごい人気だね、福本圭」
「福本くんっていうの?あの人」
「えっ!花音、知らないの!?」
沙羅は、変なものでも見るような目で私を見た。
