時折、営業中のサラリーマンや早く授業を終えた高校生が通り過ぎるだけの午後の改札前。
入学式帰りのリクとショウマのスーツ姿は目立っていた。
「遊ぶのはいいけど、こんな格好だし、とりあえず1回帰ってからにしない?」
そう提案するリクに、ショウマがうなずこうとすると、
「あー! リク君じゃーん!」
聞き覚えのある女の子の声。
懐かしいというにはまだ早い。
リクの元バイト先の仲間であり、メイの高校のクラスメイトだった滝川メグルが、チケットの束をつかんだ片手を元気に振って頬笑んでいた。
まだまだ肌寒い春風。
真夏のヒマワリみたいなメグルの雰囲気は、どこかしめっぽかった男子2人の空気を一瞬にして吹き飛ばす。


