駅のホームに着くと、リクはホッと胸をなで下ろした。
ショウマの自宅最寄駅はリクとは反対方向らしい。
リクは今、いろいろな意味で一人になりたかった。
メイと過ごすはずだった時間に、それを壊したショウマとよく分からないやり取りをする精神エネルギーも残っていない。
そうするくらいなら、早く一人になってメイにメールのひとつでも入れたい。
「じゃあ、俺、あっちだから」
ショウマと別れるため、リクが目的のホームに歩いていこうとすると、
「もう少し、一緒にいたいんだけど……」
薄々予感はしていたが、やはりショウマに引き止められてしまった。
「友達に『一緒にいたい』って言われたの、初めてだよ!
メイにすら言われたことないって」
リクが何とかそう言うと、ショウマは嬉しそうな寂しそうな、どちらにも取れない顔で微笑する。
“ショウマってちょっと変わってるけど、悪気はない、んだよ、な……?”
ショウマに対し、さきほどから気持ち的な距離を置いていたリクも、ショウマの人なつっこさに毒気を抜かれてしまった。


