「リクに大事にされてるメイちゃんに、嫉妬した」
真顔でそうつぶやくショウマ。
彼の横顔は、ウソを言っているようには見えない。
しかし、リクにはショウマの言葉を正しく理解するほどの予備知識などなく、戸惑うばかりだった。
「メイに、ヤキモチ?
よく分かんないし、その言葉、使う所おかしくない?
普通は恋愛とかで、ライバルに言うセリフでしょ」
リクは苦笑気味にそう返した。
それしか言いようがない。
「あーあ。なんか今、すっごい傷ついたんだけど!」
ふてくされた顔をするショウマに、リクは慌てふためく。
「だっ、だって、ショウマが変なこと言うからっ。
とっ、とにかく! もう、分かったから、その顔やめようよ」
ぶざけたようにムスッとするショウマの扱いに困り、リクはわたわたした。
こういうタイプの男子と会話するのは初めてだ。
どう接したらいいのか……。
ショウマは短時間で様々な面を見せてくるから、受け止める側の心の準備が追いつかない。
だけど「俺、もう帰るから!」と、突き放せるほど、リクは薄情になれなかった。


