幸せまでの距離



怒って帰っていったメイを見送り、リクはぽつんと立ちつくしていた。

「ごめんな、リク。

俺、よけいなこと言っちゃった」

ショウマは肩をすくめてリクを見た。

2人はどちらかともなく、帰路を目指して駅のホームに向かう。

「……ううん、気にしないで。

まあ、ショウマが突然あんなこと言ったのにはビックリしたけど……」

リクは前方を見たまま苦笑い。

ショウマに悪気はないと分かっていても「それなら仕方ないよな!」と、すんなり許せる気分にもなれない。

リクもメイの全てを知っているわけではない。

だけど、彼女の生い立ちを熟知しているつもりのリクにとって、ショウマの突拍子ない発言は草村に隠れた地雷のようで……。

よほど図太い神経の持ち主でないと、サラリと流せないだろうと思った。