「私なんかでメイちゃんの役に立てるのかは分からないけど、ね」
マナはやっと、晴れやかな表情を取り戻すことができた。
メイとはいろいろあったし、彼女のあまりの暴挙に腹が立ったこともあるけれど、
今は友人の1人として、ミズキと共にメイを支えていきたいと思っている。
「『私なんか』って、マナの悪い口癖ッ。
私にとっては自慢の親友なのになー」
ミズキは冗談ぽく笑い、空気の入れ替えのために窓を開けた。
4月の風はあたたかいながらも冬のにおいを含んでいたが、真面目な話をしていた2人の気分を爽快なものにするのには充分だった。
青い空に浮かんだわたあめのような雲が、気持ち良さそうに泳いでいる。
話が一段落つくと、気分転換もそこそこに、2人は論文作りに勤(いそし)んだのだった。


