幸せまでの距離


メイが自室に入っていったのを気配と物音だけで感じてから、マナが言った。

「メイちゃん、いつもより口数少なかったね……。

私、やっぱり帰った方がいいんじゃない?」

マナもメイの言動に引っ掛かりを感じていた。

避けられているとまではいかないが、それに近いような……。

ミズキは穏やかな顔でマナに尋ねた。

「メイが話さないの、自分のせいとか思ってるの?」

「うーん……。私のせいって決めつけることはできないけど、そんな気もしなくはないなぁって……」

マナはうつむき、動揺をごまかすように資料入りのA4封筒を丸める。

「たしかに、今日のメイはいつもよりおとなしかったけど、マナのせいじゃないよ」

ミズキはマナを元気づける。

「マナにだから話すけど、メイね、私がマナの話をするとすごく興味持って聞いてくれるの。

メイは、嫌いな人の話は聞きたくないってハッキリ言うもん」

「まあ、そうだよね。メイちゃんはそんな感じだよね」

うなずきつつも、マナは釈然としない。